2024-9-28
「石がある」をみた。かなり変な映画だった。川、川どころではなくうつるものの見どころがたくさんあり、その充実度はすごいのだが(人物は簡単にフレームアウトし、人物以外をみつめる時間が長い)、それと相反、というかアンバランスに、男女の非対称性が画面には映り、「なんでもない時間」みたいなものをうつしながら、それに対する冷ややかな目線が常にあるような感じだった。こういう映画を豊かと表現したくはないなと思う(否定ではない)。豊かというのも間違ってはいないんだが……。結構シビアだったように感じる。
前半はかなりはらはらする感じで、ひとつ間違えれば受身な女性が受身な女性という立場でいてしまうぞ、みたいな妙な危機感があった。サッカーのシーンはずっとよかった。その後、男性と過ごすわけだが、思えば最初からずっと、リアリティラインがどこにあるかわからず、女性もそれを探るようにして男性と接しているように見えた。どこまでがこの映画の世界では許される?みたいな探りが、それはそのまま現実に転用できる疑問で、女性は犬の散歩に行くことで自分の世界みたいなものをワッと変更し、はらはらする世界まるごとユートピアみたいなものに変えてしまった。ともすれば妖精さんみたいな立場にされそうな男性の家の描き方や、描くという事実に心動かされる。本、麦茶、棚を改造した仏壇、水の出ない靴下を絞る時の息遣い。日記を書く重要なシーンでは、書かれた文字があの、日暮れの時のめっちゃ怖い感じを全然反映しておらず、こういう感じだっただろうか……?と、いう、あの腑に落ちない表情ってそういう感じかな?
見ている側としては、最後の川のシーンで、自然と石を探し、石を発見させられた(まんまと)という感じで、終わり方は実は全然わかっておらず、なんだったんだろうな、という。